2009.03.14.sat/グリーンホール

箕面市文化振興事業団20周年記念事業「箕面山大瀧萌ゆる」。
箕面にゆかりのある演劇・舞台人、市民やグループがその総力を結集して作り上げてきた舞台が、ついに本番を迎えました。
箕面にまつわる伝説をもとに、書き上げられたのは完全オリジナルの脚本。プロ・アマ入り乱れて、役者たちはこの日まで稽古に励んできました。
「役の行者」をモチーフにした主役、若き修験僧・向陽(こうよう・倉田みさを)。天女(山本香織)ともののけたちが暮らす「大瀧の森」に、野心深い豪族が荒らそうと押し入ったとき、向陽さっそうと現われ不思議な力で賊どもを退散させます。凛々しい青年の活躍に、ほのかな思いを抱く天女・いろは。しかし平穏もつかの間、豪族どもは奥の手を実行に移すのでした。
何でも願いを一つだけかなえるという怪しい土地神・小言主(こごとぬし・末成由美)の力を借りて、向陽を「帝への叛乱を企てた謀反人」に仕立て上げるのでした。さしもの向陽も朝廷の権力の前に屈する他はなく、天女いろはと共に京の帝のもとへ連行されてしまいます。
二人の去った森では、もののけと民衆が次第にいがみあうようになっていました。そんな中、川で溺れた子どもを助けようとしたもののけ・河太郎が命を落とし、それが原因で人間ともののけは一触即発の危機に。子どもたちの言葉で誤解とわかった村人は途方に暮れますが…「そうだ、あの人を呼ぼう。村長!哲郎村長ー!」
現われたのは、箕面市長に良く似ている若い村長(倉田哲郎)。客席に向かって「こんなにたくさんの人が観に来てくれて、本当に嬉しいです!ガラガラだったらどうしよう、いっそ自分でチケット買いこんで、片っ端から配って歩こうか…でも、それって『公職選挙法違反』になっちゃうらしいんですよ、ハハハ」
村人「村長、あんた誰に向かってしゃべっとるんじゃ。」
ふと我に返った村長、もう一度まごころを込めてもののけと和解しようと、村人に呼びかけるのでした。
一方、京で帝(渋谷天外)の前に引き出されたいろはは、天女の舞を披露します。その舞に込められた怒り、そして天女の面影に何かを感じた帝。伊豆へ流された向陽は念の力で帝の眼前に現われ、いろはを森に帰せと訴えます。
帝「そなた…天女に惚れておるのか?」 向陽「…!そ、それは…」
大瀧の森では、邪心抱く豪族どもが、いよいよ森への侵略を始めようとします。
追い詰められるもののけ。そんな時、村人が現われ、強大な豪族に捨て身で立ち向かっていきます。うろたえる豪族たち、そして何と帝その人までが森へ姿を現すのでした。帝の前で悪事を暴かれ、豪族たちはあえなく縄につくことになります。
帝「それにしても、この森…私はいつかこの森で…」帝の、幼い日の記憶がよみがえります。森と天女、そして帝の縁。全ての謎が解き明かされ、全ての登場人物が勢ぞろいした時、大瀧の森=「箕面」の名の由来が明らかにされるのでした。
二日間で訪れた観客は、約1600人。出演者たち、そして陰で舞台を支えたたくさんの裏方、市民の力が集まって、この前代未聞のステージは大成功のうちに幕を閉じたのでした。