瀬川保育園10周年記念子育て講演会

2016.11.20.sun/西南小学校

瀬川保育園10周年記念子育て講演会

 箕面市で初めて民営化された瀬川保育園が、民営化10周年を記念する講演会を開催しました。
 11月20日(日曜日)。会場の西南小学校体育館には、関係者や保護者を始め多くの人が詰めかけ、盛会となりました。
 第一部の式典は、勇壮な和太鼓の演奏で幕を開け、関係者・来賓のあいさつのほか、保護者有志によるよさこいソーランも披露されました。
 また、新しい園歌「みんなでつなごう手とてと手」のお披露目では、舞台に上った園児たちが手振りを交えて熱唱し、大きな拍手を受けていました。
 第二部の講演会は、「子どもたちの生きる土台を育む環境づくりを考える」というテーマで、北陸学院大学教授の金森俊朗(かなもり・としろう)さんによる講演が行われました。
 金森さんは石川県で小学校の教師として長年勤務し、そのユニークな教育手法が注目を集めてきました。金森学級の1年間を追ったNHK制作のドキュメンタリー番組は、2003年の「日本賞」を受賞し、国内外から高い評価を受けています。
 「今、田んぼの色は何色でしょう。みなさん、ご存じですか?」
 開口一番、会場に問いかける金森さん。切り株と土で茶色いのか、それとも…。
 金森さんが取り出したのは、稲の切り株からのびた「ひこばえ」。すでに40〜50センチほどに育ち、穂までつけています。稲刈りの後に、どうしてこんなに伸びるのか。
 金森さんは、レイチェル・カーソンの言葉「センス・オブ・ワンダー」を取り上げ、不思議なことへの好奇心を持つことが大切だと説きました。
 今年の全国学力テストで石川県は全国1位を獲得しましたが、「テストで点を取るための勉強になっていないか」と金森さんは危惧します。漢字一つとっても、その成り立ちにそれぞれ意味がある。そういったことを全くやらずに、丸暗記ばかりになっていないか…。
 講演では、全国の子どもたちの作文から選んだものも紹介されました。
父と一緒に見た山の朝焼け、逆上がりができるようになった友だちのこと。
無名の子どもたちがつづった、その感性のみごとさ。子どもには、こんなに可能性がある。
「どうか親のみなさんは、そんな子どもたちの言葉を受け止めてほしい。今日、学校でこんなことがあったよ、そんな話をたっぷり聴いてあげてほしい」と呼びかける金森さんでした。
 大雨が降って運動場が水浸しになると、金森学級では泥んこの中に飛び込む授業がよく行われました。水たまりにヘッドスライディングし、クラス全員が車座になって泥をぶつけ合う光景が、名物となっていました。
 神戸で少年による児童殺害事件が起きたとき、金森学級の子どもはこんな言葉を残しています。
「あいつは、俺たちみたいに泥んこになって、仲間と抱き合ったことがないんや。抱き合って、友だちの心臓の音を感じたことがないんや」
 こうした言葉は、教師が言わせようとしたのではなく、子どもたちから自然に出てきたものだといいます。子どもがピッチャーで、教師はキャッチャー。教師から一方通行に教え込むのではなく、子どもの言葉や思いを受け止める、それが教師に求められること…。
そして、教師がキャッチャーになれるのは、保護者がバックネットの役割を果たしてくれるからこそだ、とも。
 最後に、谷川俊太郎さんの絵本「あな」を紹介し、子どもたちのやることを見守りながら、共感できる親であってほしい…そう呼びかけて講演を締めくくった金森さんに、会場から大きな拍手が送られました。

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