日航機墜落事故から31年。遺族の谷口真知子さんが「パパの柿の木」を絵本に。

2016.07.13.wed/箕面市立東小学校

日航機墜落事故から31年。遺族の谷口真知子さんが「パパの柿の木」を絵本に。

 31年前の8月、日航機墜落事故で夫の谷口正勝さんを亡くした谷口真知子さんが、生前に正勝さんが植えた柿の木を支えに、家族が悲しみを乗り越える姿を描いた絵本を出版しました。
 出版に際し、真知子さんは、7月12日(火)、墜落現場の群馬県の「御巣鷹の尾根」に登り、正勝さんの墓標に向かって絵本の完成を報告。翌13日(水)、お住いの校区にある箕面市立東小学校を訪れ、命の大切さについて子どもたちに伝えました。
 夫の正勝さん(当時40歳)は、出張で上京し、帰阪途中に事故に遭遇されました。事故現場からは「まち子 子供よろしく 大阪みのお 谷口正勝」と走り書きした遺書が見つかっています。東小学校は、当時13歳と9歳だった息子さんが通った学校でもあります。
 あれから31年。つらいとき、悲しいときに家族を元気にしてくれたのが、正勝さんが生前に庭に植えた柿の木でした。事故の2カ月後に実をつけ、家族を見守る正勝さんの面影を感じたそうです。真知子さんは昨年、この柿の木を題材にして絵本を制作。反響をよび、今回出版することになりました。
 絵本は、温かみのあるイラストで、事故当時の息子さんの目線で物語が進みます。家族4人で仲睦まじく過ごす場面から事故で生活が暗転。涙が止まらない日々を乗り越え、母の真知子さんと息子さんの3人で、柿の木を支えに悲しみを乗り越えていく姿が描かれています。
 東小学校では、図書館司書による絵本の読み聞かせもあり、子どもたちは静かに耳を傾けていました。また、真知子さんが子どもたちに命の大切さ、普段の何気ない毎日の大切さを語りかけました。子どもたちは、絵本の内容が実話であることを知り、驚いていましたが、真剣に谷口さんの話を聴いていました。
 絵本は、星湖舎から1600円(税別)で販売されています(A4判44ページ)。

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