ごった煮座100回記念公演「萱野の七夕さま」

2016.09.04.sun/メイプルホール

ごった煮座100回記念公演「萱野の七夕さま」

1989年、萱野小学校の教職員や保護者を中心に結成された「ごった煮座」。記念すべき100回目の公演が9月4日(日曜日)、メイプルホールで開催されました。大ホールは詰めかけたお客さんで埋まり、27年間の活動の集大成となる舞台の始まりを、心待ちにしていました。

■第一部 新作民話音楽劇「萱野の七夕さま」
 プロローグ。ホリゾントに映し出された「医王岩」を背景に、錫杖を手にした白装束の神が、地を踏みしめながら力強く舞います。
 萱野に住む若者・ウシオは、見慣れない美しい衣を見つけます。その日は、七夕の日。昔から、七夕の朝に、井戸水で髪を洗えば美しい黒髪となるという言い伝えがありました。その衣は、髪を洗うために舞い降りた天女が、かけておいたものだったのです。
 通りかかった村人は、美しい衣を目に止め、ちょっかいをかけてきますが、ウシオは必死に衣を守り、村人を追い払います。ふと振り返れば、こちらを見守る天女の姿。その美しさに、ウシオは呆然となります。一方の天女も、衣を守ってくれた凛々しい若者に心を動かされます。
 見つめ合う二人。
 互いに深く愛し合うようになるまで、時間はかかりませんでした。
 あなたと結婚したい、いつまでも一緒にいたい。ウシオは強く願いますが、それには天女の父親である天の大王の許しが必要でした。
 天に戻った天女は、必死にウシオとの結婚を願い出ますが、大王は頑として応じません。ようよう、月に一度、七日の日だけ、逢瀬を許してもらいました。
 天の川の岸辺に立ち、ウシオに呼びかける天女。毎月七日にお会いしましょう、きっとですよ…。しかし、天の川は嫉妬深い姉姫によって水かさが増し、ごうごうと流れる音は天女の声をかき消してしまいます。ほとんど聞き取れなかったウシオは、年に一度・七月七日と思い込んでしまうのでした。
 そしてまた、今年も七夕が巡ってきます。願いを込めた短冊を笹に吊るす、子どもたち、村人たち。ウシオもまた、天女を想いながら、短冊を吊るすのでした。

■第二部 箕面の民話アラカルト
これまでの公演で取り上げられた民話が、ダイジェストで紹介されていきました。
・小野原の泣き地蔵
・政の坂 夕しぐれ
・新稲の大杉
・粟生の隠れ石仏
・止々呂美の消えた観音様
・俳句忠臣蔵 ああ萱野三平

 それぞれの物語が、美しいコーラスとピアノ・バイオリン・チェロ・フルートなどの生演奏と共に、舞台で繰り広げられていきました。
 フィナーレでは、構成・脚本を担当した熊野禮助さんが挨拶に立ち、これまで練習を重ねてきたごった煮座メンバーたちをねぎらい、観客への感謝の言葉を伝えました。
 アマチュアのサークルでありながら、本格的な合唱と生演奏、箕面の民話を題材にしたオリジナルの脚本で上演し続けた27年間、100回の舞台。それは箕面という街の、豊穣な市民文化の一つの証しのようでした。それを表すように、客席から舞台へ、拍手は惜しみなく途切れず降り注ぎました。

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